遊郭を舞台にした和風ファンタジー乙女ゲーム『百華夜光』。
絵柄はあまり好みじゃなかったものの、花魁というテーマに惹かれてプレイしてみました。
作品紹介
- 選択肢で分岐するオーソドックスなADVゲームのシステム
- 名前変更可能(デフォルトは「出雲」。デフォルトでの名前ボイス呼び有り)
雑感
人間と妖が交わる世界で運命に抗う和風ファンタジー
人間と妖が交わる和風ファンタジー+遊郭の親和性が非常に高く、序盤から引き込まれる世界観でした。
実在した遊郭とファンタジー要素を無理なく織り交ぜた設定、シナリオは秀逸。全ルートに共通しているのは自らの運命と花街からの逃亡劇でしょうか。
花魁がテーマということで、全年齢作品でどこまで妖艶な雰囲気を出せるか不安でしたが、遊女として身体を汚される運命を受け入れる葛藤・覚悟・生き様など直接的な性描写はなくとも心情描写はしっかりと描かれています。あとは、吉原炎上を彷彿とさせる某シーンも見どころですね。
とはいっても、性描写があれば更に深みが増しそうなストーリーなので惜しくもあり。特に、乙女ゲームらしいバッドエンドの数々はエロありきでこそ映えると思うんだ…!好きな人と結ばれることが叶わず、毎晩男たちに汚されて壊れていく出雲の姿が見たかった。
作風にマッチした美麗な背景と聞き心地の良い楽曲たち
癖が強く、好みが分かれそうな絵柄でCGによってクオリティの差も見受けられたものの、背景は作風に合ったものでめちゃくちゃ美麗だったのも印象的。
ストーリーそっちのけで思わず見惚れてしまうほど美しかったです。花街の豪華絢爛な雰囲気はもちろん、枝垂れ桜や竹林、江戸時代の町並みなど「和」を存分に堪能できます。
良かったのは背景だけではなく音楽面も。和楽器で奏でられる楽曲たちは美麗なグラフィックと相まって聞き心地が良かったです。
テーマ曲の『百華夜光』は花魁道中のシーンでも使われていて、美しく着飾った衣装に反して遊女として生きていかなければならない運命に打ちひしがれる出雲の哀しみに溢れた曲に感じましたが、アレンジの『三千世界の柵を越えて』は、登場人物たちが運命に抗う覚悟や信念を固めたシーンで使われているため、その対比を感じて感慨深い気持ちにさせられました。
シナリオ重視ということもあってか、恋愛ゲームとしての糖度が低いという欠点もありましたが、和風ファンタジーの世界観や花魁というテーマが好きな方であれば楽しめる作品だと思うので、気になった方はぜひ。
また、こういった作風に馴染みがない方でも、用語解説で世界観に入り込みやすい配慮がされているため気になった方はぜひプレイしてみてください( ˶ˆ꒳ˆ˵ )

私自身、花魁用語に造詣が深くなかったので「禿」や「振袖新造」、「廓言葉」など非常に勉強になりました。